読書メモ。ずいぶん前に読んだ本を再読したので記録。
メンバーのモチベーション管理、予算管理、プロジェクト管理、採用、評価……。
マネジャーにこれらすべてを背負わせるのは、正直言ってもう無理なのではないか。インターネットが発達した今、もっと、マネジャーの役割をチームで分散させ、「マネジメントの大衆化」ができる時代になってきているのではないか ──?
「チームワークあふれる社会を創る」の理念のもと、自社では 100 人 100 通りの働き方を実現するサイボウズ。サイボウズの副社長として、管理部門の責任者として、一人のマネジャーとして、「100 人 100 通り」の働き方を実現するまでやってきた山田理が考える、新しいマネジメント論をまとめた 1 冊です。
「これからのマネジャーはどうすべきか」という重荷ではなく、「どうすればマネジャーの仕事を減らせるのか」という軽やかさを示したい。本書は、寄せられた過度な期待と責任から、マネジャーを解放するための本です。
最軽量のマネジメントは「情報の徹底公開」たったひとつ #
わたしがなぜ、マネジャーのみなさんに情報の徹底公開をオススメするのか。
先に、結論からお伝えします。
自分が遅れてプロフェッショナルを目指すより、「だれが何のプロフェッショナルか」を知っておいたほうが、圧倒的に「早い」からです。
(中略)
これだけは何度も言いますが、マネジャーのもっとも重要な仕事は「意思決定」です。
だから、任せる代わりに、わたしが意思決定に迷ったとき、
- だれに何を聞けば情報をもらえるのか
- メンバーがいったい何のプロフェッショナルで、どんなことが得意なのか
それだけは把握しておこう、と決めました。
多くのマネジャーにとっての関心事は、メンバーが取り組んでいる施策は効率的なのか、きちんと効果が出るのか、そして、自分は正しい意思決定ができているか、ということでしょう。
物事をきめるとき、いろんな人がいろんなことを言います。ある人は「絶対にこういうニーズがある」と胸を張っているのに、ある人は「いやいや、ないでしょ……」なんて否定する。全員が全員、意見が一致することなんて、そうそうありません。
その際、単純に「多数決で決める」ことはあまり好ましくありません。
結局それは、「みんながそう言っている」という、本当は存在しない「みんな」の論理に取り込まれてしまうからです。
重要なのは「数」ではなく、「だれ」が「何のプロフェッショナル」なのか、そして「だれ」が「やりたい」と言っているのか。
それを踏まえたうえでの「この人がそう言うなら、任せよう」「この人がそう考えるなら、やってみよう」という意思決定のほうが、よっぽど心から信じられます。
そのため必要なのが情報の徹底公開。
実は、皮肉なことに、これまでのピラミッド型の組織というのは、プロフェッショナルを「消して」きていました。
なぜなら、「上にいる人」の意見のほうが強力だからです。
ある部門にいる人がどんなにプロフェッショナルとして優秀でも、その上にいるマネジャーが「地位」を振りかざし、その人の情報や意思決定を採用しなければ、その人の存在は「なかったこと」になります。
そして結局、マネジャーが自分にとって都合の良い情報だけをしたから集めて、もともとやりたかったことを実行する……。
マネジャーが言うこと、その上のマネジャーのマネジャーが言うこと……さらにその上の経営者が言うことって、そんなに正しいでしょうか。
私にはそう思えません。
少なくとも、周りにイエスマンしかいない、耳障りの良い情報しか集まらない、そんな状態でまともな意思決定ができるとは到底思えないのです。
ですから、マネジャーが行うべきことは、たったひとつ。あらゆる情報を徹底的に公開する、そのための風土をつくることです。
そして、最後に必要なのは、成功仕様が失敗しようが、「わたしが責任を取るから」という一言。メンバーの失敗はあなたの失敗。あなたの失敗は上司の失敗。上司の失敗は、経営者の失敗。
上に立つものが持っているのは、「地位」でも「権威」でもなく「責任」です。