社会人がロンドン大学でコンピュータ・サイエンス(CS)を学ぶ

社会人がロンドン大学でコンピュータ・サイエンス(CS)を学ぶ

March 31, 2023

4月から大学院でコンピュータ・サイエンスの勉強をすることになりました。入学するのはロンドン大学のバークベック校(Birkbeck, University of London)というところです。

今回は自己整理も兼ねて学校やカリキュラムなどをまとめたいと思います。

ロンドン大学バークベック校(Birkbeck, University of London) #

ロンドン大学というのは、ロンドン市内にある複数の大学が形成している連合体の名称です。バークベック校はそこに所属しています。会社で例えるならば、ロンドン大学というのが持株会社で、バークベック校がその傘下で事業を行なっている実際の会社という位置付けと言えます。

実際には一括りにロンドン大学として説明されていることが多いため、以降は単にロンドン大学と記載します。

コンピュータ・サイエンス修士号プログラム #

今回私が受講するのはこちらのプログラムです。

日本の修士号にあたるもので、すべてオンラインで完結するプログラムとなっています。

期間は最短2年で修了します。最大5年まで在籍可能です。1年を4セクション(1-3 月期、4-6 月期、7-9 月期、10-12 月期)に分け、各セクションの始まりごとに、そのセクションで講座を受講するかしないか選択することが可能です。毎セクション切れ目なく受講し続けた場合は2年で全講座が完了するようになっています。仕事や個人の都合によってそのセクションの受講が難しい場合は、受講を先送りにすることができます。その場合であっても、5年以内にすべての講座修了する必要があります。(5年が経過してしまった場合は残念ながら退学という扱いになるはずです)

料金は日本居住者の場合 £12,720(ポンド)です。わかりやすく 1 ポンド 160 円とすると、約 210 万円になります。受講者の居住国により料金が高低の2つに分けられていて、日本は高い料金のカテゴリーに分類されています。

出願要件 #

出願にあたり要求されることは次のとおりです。

  • 学士号を所持していること(分野問わず)
  • GPA が 2.8/4.0(65%)以上であること
  • 英語試験の要求スコアを満たしていること

GPA については私の推測も入っています。プログラムのサイトには “UK second-class honours degree” 相当が必要とされていますが、これを日本の GPA に換算しています。バークベックのサイト(ただしコンピュータ・サイエンスのコースについて書いているわけではなく、全般的な話として書かれているページです)を見ると次の記述があります。

To be considered for entry onto a Master’s degree at Birkbeck, you would be expected to have a Gakushi from a recognised Japanese university. For programmes requiring a UK 2:2, a minimum GPA of 2.8/4.0 (65%) is required. For programmes requiring a UK 2:1, applicants will need a minimum final GPA of 3.0/4.0 (at least 70%). The minimum grade may vary depending on your university and from one subject to another. Relevant work experience may also be taken into account.

https://www.bbk.ac.uk/international/country-information/japan

正確には問い合わせ or 出願してみないことにはわかりませんが、上記が目安になります。私の場合、GPA はおよそ 3.1 で、この点で審査に引っ掛かることはありませんでした。

英語の要件は以下です。馴染みのある試験だけを抜き出しています。

  • IELTS: at least 6.5 overall with 6.0 in the written test
  • TOEFL iBT: at least 92 overall, with 22+ in reading and writing and 20+ in speaking and listening.
  • Duolingo: must achieve an overall score of at least 120.

私は Duolingo(= Duolingo English Test)を利用しました。IELTS や TOEFL よりも気軽に受験が可能なためおすすめです。

モジュール詳細 #

プログラムは 11 個の科目(モジュールと称される)から構成されており、すべてを修了する必要があります。先ほどのセクションの話とつながりますが、これらの受講順番は任意です。うち 10 個が通常の講座で、1 個が卒業論文にあたるものです。通常の講座が 15 単位(クレジットと称される)、卒業論文が 30 単位となっています。

補足:入学後の目安の学習時間は? #

大学の案内に1クレジットあたり 10 時間の学習を要するとの説明がありました。今回だと合計 180 クレジットですから、合計学習時間は 1,800 時間と見積もることができます。最短の2年(= 96 週)で修了する場合だと 1,800 ÷ 96 = 18.75 となり、1週間あたりの目安勉強時間はおよそ 20 時間と計算できます。(実際のところは始めてみないと分からないですけどね)

共有:出願から入学確定までの流れ #

出願は想像よりも非常に簡単でした。プログラムのページから申請画面(Apply now)に進み、質問へ回答および要求される書類を提出するだけで完了します。些細なものを除いて、主要な質問内容・提出文書を挙げておきます。

  • 質問内容
    • 出願理由
      • 目安 250 単語以内で記載します。
      • Why do you wish to study for this programme? Please give your reasons, you should include details about your education, work experience and current responsibilities, which are relevant to this application. It is recommended that you write between 100-250 words.

    • 学歴
    • 職歴
    • 資格
    • 英語能力
  • 提出文書
    • 学歴を証明するもの(大学の証明書など)
    • 資格を証明するもの(資格の証明書など)
    • 英語能力を証明するもの(試験結果の書類など)

至って一般的な内容です。基本的に、セレクトボックス形式で回答を選択していけば良くなっています。自分で文章を練る必要があるところは、冒頭の出願理由だけと言って差し支えないでしょう。学歴・職歴などを含めたうえでなぜこのプログラムで学習したいのかを書くことになりますが、最大でも 250 単語の短い文章です。書くべきことを書けばある程度文字数を使ってしまうため、それほど考え込む必要もありませんでした。

また、ご覧の通り CV(履歴書)であったり、推薦書の提出は必要ありません。提出欄自体は存在したので、希望すれば提出も可能ですが必須ではありませんでした。ここでアピールしたいのであれば提出しても良いでしょう。私は提出しませんでした。

書類については PDF や画像をアップロードすれば良く、物理的な紙を大学に送付する必要はありません。

このように全体を通して負荷なく出願できたため、大変ありがたかったです。

その後は大学側で審査が行われ、認定されれば入学が確定します。審査中、必要であればメールアドレス宛に連絡があるはずです。私の場合、書類の提出がうまくできていなかった(?)ようで連絡があり、何往復かやりとりしました。事務的な連絡のみですので、このやりとりが審査に影響していることはないでしょう。

そのため、出願時に提出した回答・書類を持ってすべてが判断されると考えて良いです。

最終的に、出願から約3週間後に入学認定のメールが届きました。ただしどのくらいの期間がかかるかはケースバイケースでしょう。

終わり #

大学での勉強は、2年くらい前から思い描いていたことでした。それがこの度ようやく実現し、とても嬉しく思っています。

講義が始まったら、学んだことは記事にしていこうと考えていますので、興味があればご覧ください。