フィリピン留学準備 - 「English Grammar in Use」で勉強した感想
December 21, 2019
前回の記事で書きましたが、「English Grammar in Use」を使って勉強した感想を記載します。English Grammar in Use の購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
このテキストはいくつか版が出ていますが、私が使ったのは現時点での最新版「English Grammar in Use 5th edition」です。Amazon で言うと「English Grammar in Use 5th edition Book with answers and interactive ebook」を購入しました。
English Grammar in Use の内容 #
最初に English Grammar in Use がどのような構成になっているかを記載します。いたってベーシックな内容・順序だてになっています。
章立て(目次より) #
- 1 ~ 6:Present and past
- 7 ~ 18:Present perfect and past
- 19 ~ 25:Future
- 26 ~ 37:Modals
- 38 ~ 41:if and wish
- 42 ~ 46:Passive
- 47 ~ 48:Reported speech
- 49 ~ 52:Questions and auxiliary verbs
- 53 ~ 68:-ing and to…
- 69 ~ 81:Articles and nouns
- 82 ~ 91:Pronouns and determiners
- 92 ~ 97:Relative clauses
- 98 ~ 112:Adjectives and adverbs
- 113 ~ 120:Conjunctions and prepositions
- 121 ~ 136:Prepositions
- 137 ~ 145:Phrasal verbs
各章の内容説明 #
1 ~ 6:Present and past #
「present」は現在形、「past」は過去形の意です。この章では、現在形(I do)、現在進行形(I am doing)、過去形(I did)、過去進行形(I was doing)などを学びます。
7 ~ 18:Present perfect and past #
「present perfect」は現在完了形の意です。この章では、現在完了形(I have done)、現在完了進行形(I have been dogin)、過去完了形(I had done)、過去完了進行形(I had been doing)などを学びます。
19 ~ 25:Future #
「future」は未来形の意です。この章では、未来形(I am doing、I am going to do、I will do)、未来進行形(I will be doing)、未来完了形(I will have done)などを学びます。
26 ~ 37:Modals #
「modal」は助動詞の意です。この章では、助動詞(can、could、be able to、must など)を学びます。
38 ~ 41:if and wish #
この章では、仮定の if(if I do)、仮定法過去(if I did)、仮定法過去完了(if I had done)などを学びます。ちなみに章のタイトルにはなっていませんが、仮定法は英語で「subjunctive」と言うようです。
42 ~ 46:Passive #
「passive」は受動態の意です。この章では、受動態(I am done、I am being done、I was done、I was being done、I will be done、I have been done など)を学びます。
47 ~ 48:Reported speech #
「reported speech」は間接話法の意です。この章では、間接話法(he/she said that…)といった「誰かが何々と言った」などと表現するときの書き方を学びます。
49 ~ 52:Questions and auxiliary verbs #
「question」は疑問文、「auxiliary verb」は助動詞の意です。この章では、疑問文(are you、do you など)と付加疑問文(…don’t you? など)を学びます。ちなみに、付加疑問文は英語で「tag question」と言うようです。
なお先ほど「modal」も助動詞の意と伝えましたが、正確にいうと助動詞の中でもさらに2つに分類することができるようで、「modal verb」は“法助動詞”、「auxiliary verb」は“助動詞”、と言われるようです。ただし「modal」「auxiliary」どちらも大きな括りで助動詞を表しているのだと捉えておけば問題ないです。
53 ~ 68:-ing and to… #
この章では、動名詞(I like doing)と不定詞(I like to do)を学びます。ちなみに、動名詞は英語で「gerund」、不定詞は英語で「infinitive」と言うようです。
69 ~ 81:Articles and nouns #
「article」は冠詞、「noun」は名詞を意です。この章では、冠詞(a/an、the)と名詞(I、you)を学びます。冠詞では「a/an」と「the」の使い分けや、名詞では可算名詞(banana)、不可算名詞(water)、複合名詞(bus driver)といったことを学びます。
82 ~ 91:Pronouns and determiners #
「pronoun」は代名詞、「determiner」は限定詞の意です。この章では、再帰代名詞(myself)や、限定詞(some、any、no、much、many、all など)を学びます。
なお限定詞はそのあとに続く名詞が示すものを明確にする役割を持つ修飾語です。先に登場した冠詞(a/an、the)も、限定詞というカテゴリに含まれるようです。
92 ~ 97:Relative clauses #
「relative clause」は関係節の意です。この章では、関係詞(who、whom、which、that、whose、what など)と、分詞(-ing、-ed)を学びます。
98 ~ 112:Adjectives and adverbs #
「adjective」は形容詞、「adverb」は副詞の意です。この章では形容詞や副詞を学ぶほか、比較級(I am taller than you、I am as tall as you)や最上級(I am tallest in my family)を学びます。
ちなみに、比較級は英語で「comparative」、最上級は「superlative」と言うようです。
113 ~ 120:Conjunctions and prepositions #
「conjunction」は接続詞、「preposition」は前置詞の意です。この章では接続詞を学びます。前置詞は主に次の章で学びます。
121 ~ 136:Prepositions #
この章では前置詞を学びます。どのように「in」や「on」や「at」を使い分けるかといったことや、この動詞にはこの前置詞を使うといったことを学びます。後者については熟語を学ぶようなイメージに近いと思います。
137 ~ 145:Phrasal verbs #
「pharasal verb」は句動詞の意です。この章では熟語を学びます。
このテキストはおすすめするか #
世界的に売れているテキストであり、日本の色々なブログでも絶賛されているなか異なる意見を述べるのは勇気がいるのですが、私としては、人によっては別のテキストを使った方が良いだろう、という意見を持ちました。
Amazon のレビューの中に以下のコメントをしている方がいらっしゃったのですが、私もこの方と同じ意見です。
以下にそのまま引用させていただきます。また念のため申しておきますが、以下は私が書いたレビューではありません(そもそも私は Amazon のレビューを投稿したことがありません)。
教養ビジネス本でおすすめしてたので購入。これを著者が生徒に3回繰り返させたらビジネス英語検定試験で 400 点から 800 点になったそう。内容は正直、文字通り普通の外国の非英語話者のための教材。世界中で売れているわけはおそらく、内容がすこぶるいいからではなく、他の選択肢が少ないからだろう。教材を作るのはとても大変なことだろうから。一番売れてるのを使うは悪い選択肢ではない。ただ、日本では単に文法の教材に限って言えば受験参考書で十分代替できる内容。わざわざ 4000 円以上の洋書をネットで購入するより近所の書店で英語の参考書で自分にあった物を 1000 円から 2000 円くらいで購入した方がいいと思う。
しかし、英文法というよりスピーキングの本としては使いがって良さそうだと思う。それこそ書店で売っている英会話の本やアプリよりもずっとこの英文法書は有用だと思う。シンプルでとても使いやすいだから、それこそ 3 回やれば自然に口にできる内容。もっと重要なのは世界中で非英語ネイティブが教材としているので、非ネイティブ同士による共通言語として英語を用いる際の、ロゼッタストーン的存在なのだと感じた。
Amazon | English Grammar in Use 5th edition | review
上のレビューの通り、日本に限って言えば、日本国内の参考書も負けず劣らず質が良いと思います。書店にずらっと並ぶ英語学習の本を私たちは当たり前のように思っていますが、この光景は他の国からすると異常に見えるようです。日本の英語学習書の質の高さは誇ってもよいと思います。(ぜひ、その質に見合った成果をあげたいものです…。)
有名なものに「Evergreen」(旧:Forest)がありますが、文法の内容説明としても Evergreen の方がより親切だと感じます。English Grammar in Use と比較すると確認問題の数が少ないですが、問題の解答を通じて理解を深めたいと思われる方は、別冊の準拠問題集を購入すればよいでしょう。
※上では Evergreen で例示しましたが、もちろん他の参考書でもよいと思います。私は使用したことがないのですが「アトラス総合英語」という文法書も並んで有名と聞きます。
ただし English Grammar in Use にも利点があります。
まず1点目ですが、細かいニュアンスまで踏み込んだ説明がされていること。例えば「A という表現方法と B という表現方法はどちらも似たことを言っているけれど、ネイティブが使うときには、暗に残念な気持ちを込めるときには A の表現を、そうでないときには B をよく使う」といったようなニュアンスを含めた説明がところどころ入っています。あとは「この表現は文語でよく使われる表現で口語では使われない」など。要するに、実際にはどのような場面でその表現が使われているかをよく説明しています。“in Use”が書籍名に入っている所以と思います。
次に2点目です。1点目と関連した部分ですが、ネイティブが作ったテキストというだけあって、例文がとても自然なものに感じます。これは日本のテキストが及ばない部分です。先のレビュー内の「文法というよりスピーキングの本としては使いがって良さそう」というのはここが関係していると思います。
そして3点目が、非ネイティブの英語学習者間で広く使われているテキストであり、英語学習者のなかでの共通テキストのようなものになっているという点です。語学留学中に文法で分からないことがあった時には、このテキストを持って行って質問をすればよいのではないでしょうか。レビュー内の「非ネイティブ同士による共通言語として英語を用いる際の、ロゼッタストーン的存在なのだと感じた。」の通りです。
そして最後に4点目ですが、英語で英語を勉強できるという点です。当然ですがテキスト中に日本語は一切登場しません。このテキストをやり遂げることができたということは、一切日本語を使用しない(できない)環境においても、自分は英語でもなんとかやっていけそうだという自信につながります。なおテキストでは非常に簡単な英語で説明が行われるため、高校生レベルもあれば問題なく進めることができます。単語も難しいものは登場せず、1時間勉強をするなかで2,3回辞書を調べる機会がある程度です。
ただし、英語で英語を学習することについてはデメリットもあります。それは学習スピードが落ちるという点と、説明文を正確に読み取ることができず誤って解釈してしまう可能性がある点です。同じ内容を理解するにしても、日本語を読んで理解するよりも、英語を通して理解する方が時間がかかります。また、日本語であれば当然のことながら意味を正確に読み取れると思いますが、英語の場合は知らず知らずのうちに誤った解釈をしてしまう(かつそれに気づけず、間違ったまま理解してしまう)ということもあるかもしれません。
このテキストは誰におすすめするか #
これまで書いてきた内容を踏まえて、このテキストは誰におすすめするかです。
まず、受験勉強にはおすすめしません。受験生であればまず Evergreen などの日本の文法書を利用して、日本語を介して正しく英文法を理解するべきです。Evergreen を終えたあとは受験向けの参考書・問題集をこなすのが良いと思います。後述しますが、受験で問われる内容ながらも、English Grammar in Use では登場しない項目もあります。受験を目的とするのであれば、受験を目的として作られた参考書を利用するべきです。English Grammar in Use を使って学習したい方は、受験を無事に終えたあとで取り組めばよいと思います。
では誰におすすめするかというと、それは大学生以上の英語学習者です。これらの方々は英文法を一通り勉強して現在も知識がある方、またはかつて勉強したものの忘れてしまった方だと思います(私はこちらのケース)。English Grammar in Use に取り組めば、思い出し学習として有効です。「あー、そういえばこういうの習ったなー。英語ではこういう風に説明されるのか。」となり、思い出し学習かつ英語で英語を勉強したという自信にもなります。かつて文法を一通り勉強したことがあれば、英語での説明を誤って解釈してしまう恐れもほとんどありません。仮に誤って解釈しそうになったとしても「昔はこういう風に習った記憶だけど、説明文を読むとちょっと解釈が違うな。説明を誤って解釈しているかな。」と気づくことも可能です。また、English Grammar in Use を1冊こなすのはそれなりに時間がかかるため、1か月後のテストで何点を取らないといけないという状況で使うのは得策ではありません。これも受験生にはおすすめせず、大学生以上の方におすすめする理由の1つです。
なお大学生以上の方の場合でも、TOEIC の得点を伸ばすことを目的とするのであれば、やはり TOEIC 用につくられたテキストを使うのが最も効率が良く、この場合も English Grammar in Use を使う理由はありません。English Grammar in Use はあくまでも“in Use”な英語を学びたいときに使うテキストです。
登場しない項目も #
私が受験勉強をした際に学んだ記憶のある内容ながら説明されなかった項目もありました。具体的な例をいくつか挙げます。
いずれも基本的な項目からは少し外れた発展的内容ではありますが、受験勉強の中で誰しもが学習するはずの項目であり、やはり受験用テキストとしての English Grammar in Use の使用は控えた方が良いでしょう。
関係詞の「why」「when」「how」 #
関係詞(詳細には関係副詞)の1つ「why」は、reason を先行詞とするか、または reason を省略した形で使うことができます。
例:That’s the reason why I feel bad. 例:That’s why I feel bed.
ただこの「why」については、テキスト内では説明されませんでした(正確にいうとページの端に why を使った例文が1つだけ記載されていたのですが、特に説明もなく、他の項目と比較してもほとんど記載していないようなものです)。
関係副詞には「why」以外にも「when」「how」「where」がありますが、説明されているのは「where」のみで、その他は記載がありません。
仮定法未来の「were to」や「should」 #
仮定法未来の「were to」や「should」についてはテキスト内で登場しませんでした。
例:If you were to win the game, what would you do? 例:If you should win the game, what whould you do?
分詞構文、付帯状況(with) #
こちらもテキスト内では登場しませんでした。
例:Walking along the street, I met him. 例:Seen from the moon, the earth is blue. 例:She stood in front of us with her arms folded.
テキストの改善点 #
解答ページが切り離せるようになるとさらに良くなると思いました。回答はテキストの最後にまとまって記載されていますが、各ページの確認問題に回答した後で正誤を確認する際、何度もページを行ったり来たりしないといけなくなります。
対処法はいくらでもあり、私の場合は回答のページをスマホで撮り、確認問題のページの横にスマホを置いて答え合わせをしました。スマホを利用せずとも、先に解答ページだけコピーしてしまうのもよいと思います。
しかし、この手間をかけずとも最初から切り離せるようにしておいてくれれば親切なのになと感じます。とはいえ自分で対処可能なためそこまで大きな不満ではありません。完成されたテキストですがあえて改善点を書くならば、という程度の気持ちです。
テキストの好きなところ #
学習者を楽しませようという意図が感じられます。例えば「ask と answer を適切な形(-ing and to…)にして空欄に入れなさい」という問題があり、下記の通り問題が出題されます。
- Why do you keep _____ me questions? Leave me alone!
- Please stop _____ me questions!
- I refuse _____ any more questions.
答えは上から、「asking」「asking」「to answer」です。
上から順に訳すと、「1.どうして私に質問ばかりするの?放っておいてよ!」「2.お願いだから質問するのをやめて!」「3.質問に答えるのを拒否します。」となり、ストーリー性を出して楽しませようとしてくれていることが伺えます。
このような形で、楽しく勉強してもらおうという意図を随所に感じることのできるテキストで、個人的にはとても好きです。
イギリス英語版とアメリカ英語版どちらを購入するべきか #
English Grammar in Use を購入しようと思われた方にお伝えしておきたいことが、この本はイギリス英語版とアメリカ英語版が販売されているということです。なお、実際にはさらにレベル別や、eBook と呼ばれるオンライン学習版の有無でも分かれており、Amaon で「English Grammar in Use」を検索すると色々と HIT すると思います。
English Grammar in Use の様々なバージョンの区別については詳細に解説してくださっているブログもありましたので、ここでは詳しい説明は省略しますが、ほとんどの人が購入するテキストは下記2種類のどちらかになると思います。
- English Grammar in Use - イギリス英語版
- Grammar in Use Intermediate - アメリカ英語版
イギリス英語版の「English Grammar in Use」が大元であり、それをもとにアメリカ英語版の「Grammar in Use」が作成されるようです。そもそも出版社が「ケンブリッジ大学出版」ですので、イギリス英語版から作られるのは当然でしょう。なお、アメリカ英語版についてもケンブリッジ大学出版により作られていますので、アメリカ版の内容にも間違いありません。
私はイギリス英語版の「English Grammar in Use」で勉強したのですが、結論から言うとアメリカ英語版の「Grammar in Use Intermediate」で勉強しても良かったかも、と思っています。それは、私たちが日本の学校教育で習ってきたのはアメリカ英語だったためです。
イギリス英語とアメリカ英語で文法的な違いはほぼ無いものの、使われる単語やその形が微妙に異なります。そのため数は多くありませんが「あれ?この単語のスペルってこれであってる?…ああ、イギリス英語だとこうなのか。」となることもありました。名詞についても、イギリスで使われる名詞とアメリカで使われる言葉が異なるようです。
具体的には下記などです。
- アメリカ英語:イギリス英語
- organize:organise …準備する、組織する
- apologize:apologise …謝る
- learned:learnt …learn の過去形
- spilled:spilt …spill の過去形
- traveled:travelled …travel の過去形
- traveling:travelling …travel の ing 形
- canceled:cancelled …cancel の過去形
- canceling:cancelling …cancel の ing 形
- pants:trousers …ズボンのこと
- bandaid:plaster …絆創膏のこと
- garbage:rubbish …ごみのこと
逆に言ってしまえば、違いはこの程度です。個人的には、イギリス英語とアメリカ英語の違いを(なんとなくですが)学ぶ良い機会になったなと思っています。
この違いが気になる方はアメリカ英語版を買うのがよいでしょう。イギリス英語版を元にしてアメリカ英語版を作るという流れの都合上、バージョン的にはイギリス英語版の方が新しい内容になっていますが、これは気にする必要もありません。文法はそうそう変わるものでもないため、数年で(というか数十年経っても)内容が古くなるということはないためです。
私が使用したのは English Grammar in Use の第5版なのですが、第4版との違いについてテキストの前書きに記載がありました。下記の通りです。
This fifth edition of English Grammar in Use has been revised and updated. There are no new units, but some of the exercises have been rewritten or replaced.
English Grammar in Use 第5版前書きから
上記では「第5版では(第4版と比べて)新しいユニットの追加はありませんが、確認問題をいくつか書き換え・置き換えしています。」と言っています。つまりほとんど変更がないようなものです。バージョンの違いは気にしなくてよいでしょう。
終わり #
以上で終わります。何かしらご参考になりましたら幸いです。