PRINCE2ファンデーション試験合格記録 - 勉強方法ほか
October 9, 2019
PRINCE2 ファンデーション試験に合格した際の勉強方法・試験結果などをまとめます。
最初に、PRINCE2 の概要から説明します。
PRINCE2 とは #
PRINCE2(PRojects IN Controlled Environments)は、構造化されたプロジェクト管理方法です。情報システムプロジェクトの英国政府標準として開発され、一般的なプロジェクト管理方法として 1996 年にリリースされました。現在では多くの英国政府部門および国連システム全体でのプロジェクト管理の事実上の標準となっています。
PRINCE2 - Wikipedia(英語版を翻訳・要約)
PRINCE2 は、今の英国商務省がつくったプロジェクトマネジメント方法論です。日本では、米国発のプロジェクトマネジメント方法論である PMBOK の方が良く知られていますが、ヨーロッパでは PRINCE2 の方が有名です。また、英国の植民地であったオーストラリアでも主流となっているほか、国連(国際連合)でのプロジェクトマネジメント標準にもなっています。
ちなみに、末尾に「2」を含んだ「PRINCE2」までが方法論の名称です。最初は情報システム用のプロジェクトマネジメント方法論として「PRINCE」が開発され、その後、対象に情報システム以外も含んだ汎用的な方法論として「PRINCE2」に変わりました。
1989 年、イギリス政府の情報システムのプロジェクトマネジメントの標準として中央電子計算機局 (CCTA) が PRINCE を開発した。これは、すぐに IT 向けにイギリス政府機関以外でも使われるようになった。1996 年、より汎用的なプロジェクトマネジメント手法として PRINCE2 が発表された。
PRINCE2 - Wikipedia(日本語版)
PRINCE2 はたびたびバージョンアップされており、主要な改訂としては 2005 年や 2009 年、また最近では 2017 年に改訂されました。
PMBOK と PRINCE2 の違い #
学習した結果抱いた印象ですが、下記の違いがあります。
- PMBOK はプロジェクトマネージャーの行動に焦点を当てているが、PRINCE2 は組織全体のガバナンスに焦点を当てている。
- PMBOK は「HOW(どのようにそれを行うべきか)」を扱う方法論で、PRINCE2 は「WHAT(何を行うべきか)」を扱う方法論である。
上記の通り、PMBOK と PRINCE2 はそもそも観点が異なっているように感じました。PRINCE2 はプロジェクトを成功させるためには何を(WHAT)をやらなければならないのかを体系化することを目的としており、PMBOK は、WHAT を成し遂げるためには具体的にどのように(HOW)やるのか、の方法論をまとめたベストプラクティス集です。
そのため、両者は対立するものではなく調和するものであり、PRINCE2 で WHAT を明らかにし、それを PMBOK の HOW で実行していくというのが理想の進め方だと感じました。
PRINCE2 の資格試験 #
PRINCE2 に関する知識を有する者に対する認定として、資格試験も運営されており、英国政府と契約を結んだ英国 AXELOS 社により試験が提供されます。
資格はレベル別に2段階にわかれており、基礎的なレベルの試験が「Foundation(ファンデーション:基礎)」試験、応用的なレベルの試験が「Practitioner(プラクティショナー:実践者)」です。どちらもそれほど難しい試験ではなく、特にファンデーション試験は非常に簡単な試験となっています。
ファンデーション試験は、四肢択一の選択式で、全 75 問です。ただし、このうち 5 問はダミー問題であり採点されません。これは今後の試験問題作成の参考のための問題です。そのため実際には全 70 問の回答に対して採点が行われます。しかし、どの問題がダミー問題かは明らかにされませんので、75 問すべて回答する必要があります。
試験時間は 60 分ですが、母国語以外の言語で受験する場合には 15 分の追加時間が与えられ、試験時間は 75 分間となります。時間内に十分解き終わるような内容ですので試験時間の心配は不要です。
50%以上を得点(= 35 問以上正解)すれば合格です。
試験は CBT 形式で実施されるため、受験日・会場は自分で選択することができます。
勉強方法 #
まず、PRINCE2 の公式書籍を Amazon にて購入し、一読しました。日本語の書籍です。
「Managing Successful Projects with Prince2」
PRINCE2 を読むのは初めてでしたが、過去に PMBOK を読んだことがありましたので、PMBOK との違いを確認するような気持ちで読みました。前述の通り、PMBOK と PRINCE2 はそもそも観点が異なっていますが、大きく捉えるとどちらもプロジェクトマネジメントの方法論であり、考え方に共通する点は多いです。PMBOK との感覚的な違いで違和感を感じる点もありましたが、逆に言うと、違和感を覚えたところは印象強く記憶することができました。
次に、Udemy というオンライン学習プラットフォームで販売されている講座を利用しました。以下の2つです。
- PRINCE2 Foundation Complete Course & 2 Practice Exams - https://www.udemy.com/course/prince2_exam/
- PRINCE2 Foundation: Practice Certification Exams (6 Exams) - https://www.udemy.com/course/prince2_foundation/
*後日追記:両講座とも非公開になったようです。良い内容だっただけに残念です。
1つ目の講座が PRINCE2 ファンデーション試験の講義動画です。また模擬試験が2個ついています。2つ目の講座は、講義はなく問題だけのコースになっており、模擬試験が6個ついています。
ただ、私は講義をほとんど視聴せず、模擬試験だけを解いていました。1つの模擬試験で 60 問あるため、全部で 480 問になります。
しかし、無計画な学習スケジュールの結果、勉強時間を十分に確保できず、480 問中、半分ほどしか解くことができないまま試験日を迎えました。
最終的に、勉強期間は1週間弱、勉強時間は 15 時間ほどでした。
試験申し込み・受験 #
私は下記で受験しました。ピアソンやプロメトリックといった大手試験運営者ではないですが、何の不都合もなく普通に受験できますので、ご心配なく。
IT&ストラテジーコンサルティング受験案内 - https://itstrategy.jp/pcexam
案内もあると思いますが、当日は身分証明書を忘れないようにしてください。海外系の資格試験では必須です。
試験結果 #
70 問中 48 問正解(得点率 68.57%)で合格でした。また、それぞれの分野別に成績を教えてくれます。ご参考までに私は下記でした。
(凡例:分野名 / 正答数 / 問題数 / 得点率)
Total / 48 / 70 / 68.57%
- Business Case theme / 4 / 5 / 80.00%
- Change theme / 4 / 5 / 80.00%
- Closing a Project process / 2 / 3 / 66.67%
- Controlling a Stage process / 1 / 4 / 25.00%
- Directing a Project process / 1 / 4 / 25.00%
- Initiating a Project process / 1 / 3 / 33.33%
- Managing Product Delivery process / 2 / 4 / 50.00%
- Organization theme / 4 / 4 / 100.00%
- Overview, Principles and Tailoring PRINCE2 to the project environment / 4 / 6 / 66.67%
- Progress theme / 6 / 6 / 100.00%
- Plans theme / 3 / 5 / 60.00%
- Quality theme / 3 / 4 / 75.00%
- Risk theme / 6 / 8 / 75.00%
- Managing a Stage Boundary process / 3 / 5 / 60.00%
- Starting up a Project process / 4 / 4 / 100.00%
合格証明書 #
合格後、下記サイトから合格証明書の PDF をダウンロードできます(受験申し込みの過程で下記サイトのアカウントを作ります)。手数料を支払えば印刷された証明書も発行できるようです。英国から郵送されるため、ある程度時間を見ておいた方が良いと思います。
PeopleCert - https://www.peoplecert.org/
ご参考までに、ダウンロードした証明書 PDF のキャプチャです。
終わり #
以上で終わります。PRINCE2 に興味がある方、ぜひ受験してみてはいかがでしょうか。