ITIL4ファンデーション試験合格記録 - 勉強方法ほか

ITIL4ファンデーション試験合格記録 - 勉強方法ほか

October 8, 2019

ITIL4 ファンデーション試験に合格した際の勉強方法・試験結果などをまとめます。

まずはご参考までに ITIL の概要からご説明です。

ITIL とは #

ITIL(旧 Information Technology Infrastructure Library の頭字語)は、IT サービスをビジネスニーズに合わせることに焦点を当てた IT サービス管理(ITSM)の一連の詳細なプラクティスです。

(中略)

ITIL 4 Foundation Book は、2019 年 2 月 18 日にリリースされました。

ITIL - Wikipedia(英語版を翻訳)

ITIL は、今の英国商務省がつくった、IT サービスマネジメントにおけるベストプラクティス集です。IT サービスマネジメントにおけるデファクトスタンダードとなっています。例えるなら、プロジェクトマネジメントにおける PMBOK のような立ち位置です。

1989 年に最初の ITIL が公表された後、定期的にバージョンアップされています。2000 年から 2001 年にかけて「ITIL v2」が公表され、次いで 2007 年に「ITIL v3」が公表されます。2011 年には「ITIL v3」の基本構成はそのままに、内容の記載を改善したバージョンが公表されます。2007 年に公表されたものは「ITIL v3(2007)」と、2011 年に改訂されたものは「ITIL v3(2011)」と表現されます。そして、2019 年に「ITIL4」が公表されました。以前は「v2」「v3」と「v」がついていましたが、「ITIL4」になった際に表記しなくなりました。

ITIL4 の資格試験 #

ITIL に関する知識を保有している認定として資格試験も提供されており、英国政府と契約を結んだ英国 AXELOS 社によって運営されています。国家資格ではありませんが、公的な性格を持った資格になっています。

資格は分野別・レベル別に何段階かわかれており、最も基礎的なレベルの試験が、「Foundation(ファンデーション:基礎)」試験です。ファンデーション試験は非常に簡単な試験となっています。

ファンデーション試験は、四肢択一の選択式で、全 40 問です。試験時間は 60 分ですが、母国語以外の言語で受験する場合には 15 分の追加時間が与えられ、試験時間は 75 分間となります。時間内に十分解き終わるような内容ですので試験時間の心配は不要と思います。65%以上得点(= 26 問以上正解)すれば合格です。なお、CBT 試験ですので、受験日・会場は自分で選択します。

現時点では、英語で学習・受験する必要あり #

現時点では、ITIL4 は日本語に翻訳されていません。現在翻訳中であるため、近いうちに日本語版が公表される見込みですが、現在試験を受けるのであれば、英語で学習し、英語の試験を受ける必要があります。とはいえ、ファンデーション試験レベルであれば極めて簡単な試験のため、英語が得意でなくとも十分に内容を理解でき、また試験に合格できます。

私も英語はできない方ではありますが、それでも試験に合格することができました。次に私が取り組んだ勉強方法を記載します。

勉強方法 #

ITIL4 のバージョンに限らず、そもそも ITIL について知識ゼロからのスタートでしたので、まずは日本語の入門書籍を1冊読みました。以下の本です。例え話を用いながら説明されており、とても分かりやすいです。内容も端的にまとめられています。

「ITIL はじめの一歩 スッキリわかる ITIL の基本と業務改善のしくみ」

次に、Udemy というオンライン学習プラットフォームで提供されている講座を利用しました。以下の2講座です。

*後日追記:両講座とも非公開になったようです。良い内容だっただけに残念です。

1つ目の講座が ITIL4 ファンデーション試験の講義動画です。また模擬試験が2つ付録しています。2つ目の講座は、講座というより問題集のようなもので、模擬試験6つの問題セットです。

…といっても、私は動画講義をほとんど視聴しませんでした。1つ目の講座の方に「Study-Guide」というテキストにあたる約 40 ページの PDF がついているのですが、これがとても優秀で、この PDF だけあればインプット学習は十分です。もちろん英語で書いてありますが、40 ページ程度であれば気合いで読めると思います。

上記 PDF でインプット学習後、あとは模擬試験をひたすら解くだけです。模擬試験は両講座あわせて8つあり、1つの模擬試験で 40 問ありますので、全部で 320 問の問題です。ただし、解説を読む時間も含め、1問あたりにそれほど時間はかかりません。私は 320 問を 1.5 周しました(本当は2周する予定でしたが試験日までに時間が足りず、完全に2周はできませんでした)。

なお、ITIL の公式文書「ITIL Foundation: ITIL 4 Edition」も Amazon などで買うことができます。ただし、現時点では英語のみです。私は、試験勉強の一環として読むつもりで購入したのですが、結局読まずじまいでした。

最終的に、私の勉強期間は2週間、勉強時間は 30 時間ほどでした。

試験申し込み・受験 #

ITIL4 はまだ日本語に翻訳されていないため英語で受験する必要があるということから、現時点で受験場所は限られます。私は下記で受験しました。

IT&ストラテジーコンサルティング受験案内 - https://itstrategy.jp/pcexam

プロメトリックやピアソンといった大手の試験運営者ではないため、不安に思われるかもしれません。実は私も若干不安だったのですが、結果から言うといたって普通でした。心配せずに受験して大丈夫です。

試験申し込み後に案内もありますが、当日は身分証明書を忘れないようにしましょう。

試験結果 #

40 問中 29 問正解(得点率 73%)で合格でした。合格したもののなかなかギリギリでしたね…。

なお、それぞれの分野別に成績を教えてくれます。ご参考までに私は下記でした。

(凡例:分野名 / 正答数 / 問題数 / 得点率)

Total / 29 / 40 / 73%

  • Understand the key concepts of service management / 4 / 5 / 80.00%
  • Understand how the ITIL guiding principles can help an organization adopt and adapt service management / 5 / 6 / 83.33%
  • Understand the four dimensions of service management / 2 / 2 / 100.00%
  • Understand the purpose and components of the ITIL service value system / 1 / 1 / 100.00%
  • Understand the activities of the service value chain, and how they interconnect / 2 / 2 / 100.00%
  • Know the purpose and key terms of 15 ITIL practices / 6 / 7 / 85.71%
  • Understand 7 ITIL practices / 9 / 17 / 52.94%

合格証明書 #

合格後は下記サイトから合格証明書の PDF をダウンロードできます(受験申し込みの過程で下記サイトでアカウントを作ります)。手数料を支払えば印刷された証明書も発行できるようです。その場合、英国から郵送されてくるので、ある程度時間を見ておいて方が良いと思います。

PeopleCert - https://www.peoplecert.org/

ご参考までに、ダウンロードした証明書 PDF のキャプチャです。

ITIL Foundation Certificate

終わり #

以上で終わります。ファンデーション試験であればそれほど難しくもありませんので、興味が出た方はぜひ受験してみてはいかがでしょうか。